心くすぐるプロ仕様 サンスター、1200円の家庭用洗剤

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コラム(ビジネス)
2020/10/2 2:00
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500ミリリットルで1200円という価格でヒットした(写真:スタジオキャスパー)

500ミリリットルで1200円という価格でヒットした(写真:スタジオキャスパー)

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300円前後の商品が主流の家庭用洗剤で、1本1200円(税別)のサンスター「輝き洗剤キーラ」が売れている。2018年9月に発売した水回り用洗剤は、高額ながら徐々に人気が高まり、今年1~8月の売り上げは前年同期比2.9倍になった。

「1本で済むから使いやすい」。開発のきっかけは、1989年に発売した業務用洗剤の人気が高く、ユーザーからの評判が良かったことだ。ホテルの清掃現場でステンレス製の蛇口などに付け、スポンジでこすると水垢(あか)やせっけんかすなど多種多様な汚れが落ちる。配合している研磨剤は得意の歯磨き剤の研究で蓄積した技術を応用した。

様々な道具を抱え、部屋を移動しながら短時間で掃除していくプロにとって、洗剤を変えることなく風呂場や洗面台などの水回りをカバーできる利点は大きい。20年ほど前から高級ホテルの清掃現場で定番と呼べる存在になり、「仕上がりが良い」「ピカピカになる」など機能面でも高評価を得た。歯磨き剤以外の商品カテゴリーを広げたいと考えていたサンスターは2015年、一般向けに販売するための開発を始めた。

■プロが使う信頼感

「プロが使うという事実は信頼感や、効果への期待を呼ぶ」。キーラの開発に携わった新規事業開発本部の布谷秀明氏はこう話す。洗剤の成分は変えないが、一般消費者向けに販売するため容器の選定に苦心した。扱いの難しいヨードを除菌成分として配合している。洗剤の容器として一般的なPET(ポリエチレンテレフタレート)素材では、時間の経過とともにヨードが染み出してしまうという問題があった。

業務用と同じポリエチレン素材のボトルを採用したが、素材に厚みがあるうえ硬く、中身を絞り出しにくい。重すぎない容量と、押し出しやすい硬さを両立するため試作を繰り返した。

既存の水回り洗剤市場はレッドオーシャンだ。サンスターは「同じ場所では戦わない」(布谷氏)ことを企画の当初から徹底した。500ミリリットル入りで1200円という高価格に設定した。

売り方も変えている。ドラッグストアやスーパーなどの一般的な販路では、十分なスペースを取れず、コンセプトが消費者に伝わりにくいと判断。発売当初はアマゾンや楽天などのEC(電子商取引)に限定し、動画や画像を駆使して業務用で積み上げた実績や効果を訴求した。今もウェブ上では「ホテルの清掃現場で20年」「プロ向け洗剤が一般家庭用として誕生」と訴えている。

19年11月から生協の宅配でも取り扱いを開始した。販路を徐々に広げていたところに遭遇したのが新型コロナ。外出が制限される中、家をきれいにしたいという需要が高まり、3月から5月の売り上げは前年比4倍以上になった。布谷氏は「流通チャネルと需要がマッチした」とヒットの要因を分析する。

■「業務用⇒家庭用」の歴史

「業務用の器具を家庭用にするのは、開発テクニックの1つ」。こう語るのは、雑貨卸とプライベートブランド(PB)開発を手掛けるドウシシャの吉崎雄貴ハウスウェア商品ディビジョングループ12bet交流群ジャーだ。

ドウシシャの吉崎雄貴氏は1人用燻製器などの開発を手掛けた(写真:的野弘路)

ドウシシャの吉崎雄貴氏は1人用燻製器などの開発を手掛けた(写真:的野弘路)

ドウシシャの幅広い商品群の中でもコロナ禍で売れ行きが好調なのが、家庭用燻製(くんせい)器「もくもくクイックスモーカーS」(2980円、税別)。直径、高さともに15センチメートル程度の1人用燻製器だ。皿の上にチーズやナッツなどの食材、その下に燻製用のチップをセットし、固形燃料で10~15分ほど加熱すると燻製が出来上がる。4~8月の売り上げは前年同期の2倍となった。

家で凝った料理をしたいという巣ごもり需要を捉えて4月ごろから売れ始め、「月を追うごとに売れていった」(吉崎氏)。品薄で欠品することもあり、外出自粛が緩和された7、8月も売れ続けた。出来合いの物を買うことが多い燻製を家で手軽に作れることで、リモート飲み会のちょっと変わったつまみとしたり、食卓の話題として楽しんだりしている消費者の声が寄せられているという。

1人分の燻製を手軽に作れる(写真:的野弘路)

1人分の燻製を手軽に作れる(写真:的野弘路)

ドウシシャはこれまでも「外でしか楽しめないと思っていたものを、コンパクトで求めやすい価格にする」(吉崎氏)ことを得意としてきた。最近では焼き芋器やチュロスメーカーがヒットしたほか、16年に発売したふわふわの味付き氷が作れる電動かき氷器は80万台の大ヒットとなった。

ジュースなどを固めた糖分を含む氷は軟らかく、削るのが難しい。ドウシシャは味付きかき氷を出す甘味店の人気ぶりから、家庭用の機械にできれば売れると確信。モーターや刃の形状や速度などを工夫し試作を繰り返し発売にこぎつけた。

「業務用」「プロ仕様」はこれまでもヒットの方程式とされてきた。古くは屋台の味を家庭に持ち込んだタコ焼き器。任天堂のファミコンも爆発的なヒットの一因はゲームセンターのアーケードゲームを家庭で手軽に楽しめることだった。

アパレル市場に旋風を巻き起こしたワークマンがアピールするのもプロ仕様。本物の価値というイメージが消費者の心をくすぐる。その神通力は、家庭が消費の場として重要になったコロナ禍でいかんなく発揮されている。

(12bet国际平台ビジネス 庄司容子)

[12bet国际平台ビジネス電子版 2020年9月30日の記事を再構成]

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