テスラ独走、もろ刃の中国傾斜 世界販売7~9月44%増

2020/10/3 14:34 (2020/10/3 21:33更新)
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テスラは現地生産によって中国販売を大きく伸ばしている(上海市の販売店)=ロイター

テスラは現地生産によって中国販売を大きく伸ばしている(上海市の販売店)=ロイター

電気自動車(EV)専業の米テスラが新型コロナウイルスで低迷する新車市場で独り勝ちとなっている。販売回復に苦戦するライバルを尻目に、7~9月の世界販売台数は四半期ベースで過去最多を更新した。新型コロナの感染拡大局面からいち早く抜け出した中国のEV市場で先行者利益をつかみ取っている。

テスラが2日に発表した7~9月の世界販売台数は前年同期比44%増の13万9300台だった。米ゼネラル・モーターズ(GM)とトヨタ自動車は同時期の世界販売台数をまだ公表していないが、7~8月はそれぞれ前年同期比13%減の113万9000台と同18%減の128万9000台を売った。2社の最大市場である米国では9月販売の前年割れが確定しており、伸び率でのテスラの独走ぶりがうかがえる。

同社の場合、米中両国の完成車工場で生産する小型車「モデル3」の販売増が大きい。共通の部品を使う小型SUV(多目的スポーツ車)「モデルY」と合わせた販売台数は12万4100台となり、前年同期に比べ56%増えた。

テスラは12bet交流群別の台数内訳を明らかにしていないが、2019年末に上海市でEVの現地生産を始めた中国事業が成長をけん引しているとみられる。調査会社のマークラインズによると7~8月のテスラの世界販売に占める中国の比率は34%となり、米国からの輸入に頼っていた前年同期の17%に比べ2倍の水準に高まった。

テスラは上海工場の稼働後、中国でのモデル3の実質価格を段階的に引き下げてきた。足元の価格は24万9900元(約390万円)からと、一般消費者にも手の届く水準だ。モデル3はテスラの中国販売の9割前後を占めるとみられ、1~6月には中国のEV市場で現地最大手の比亜迪(BYD)からシェア首位を奪う原動力にもなった。

上海工場は、市場開放を印象づけたい中国政府が初めて外資による単独出資を認めた自動車工場だ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は19年1月の着工式にあわせて李克強(リー・クォーチャン)首相とも会談している。中国政府との蜜月関係をアピールすることで、サプライチェーン(供給網)の構築や地元金融機関からの借り入れなどで自社に有利な条件を引き出してきたとみられている。

20年9月22日に米カリフォルニア州の完成車工場で開いた株主総会でも、マスク氏は「あまり理解されていないが、中国で唯一の外資による全額出資工場を持つのはとても大きなことだ」と明かしている。上海工場については「大きな配当を生むようになった」とも述べ、投資が早くも回収期を迎えていることを示唆した。

新型コロナの感染拡大によって世界の新車市場は大きく傷ついたままだ。英LMCオートモーティブによると世界の新車販売台数は4月の前年同月比45%減を底に回復傾向にあるものの、8月も10.3%減と前年割れが続いた。外出を控える消費者も多く、テスラを除く世界の有力ブランドは軒並み販売不振に苦しんでいる。

一方、米カリフォルニア州政府が35年までにガソリン車の新規販売を禁止する方針を打ち出すなど、EVメーカーには環境規制の追い風も吹く。代表銘柄であるテスラの株は高値圏で取引が続いており、2日終値ベースの時価総額は3867億ドル(約40兆7千億円)と自動車業界で2番手のトヨタ自動車に2倍近い差を付けている。

ただ、グローバルメーカーへの脱皮に伴ってテスラも米中摩擦などの地政学上のリスクと無縁ではいられなくなっている。17年には在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)をめぐって中国消費者の対韓感情が悪化し、現代自動車は中国で長期的なシェア後退を余儀なくされた。米中対立のまっただ中で強めるテスラの中国傾斜は、もろ刃の剣となる恐れもある。

(シリコンバレー=白石武志)

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